飛蝗者
私はなるたけ、正大が部屋を出てしまうことは避けたかった。彼が部屋を出て行かないようにするためのできる限りを尽くそうと思った。

彼が飢え渇くことのないようにウイダーゼリーもエネルギー飲料も備蓄していた。彼がいつでも休めるようにと安いソファを取り寄せた。
彼が1人になる時間の必要な人間であるとは察しているから、毎日散歩だ煙草だと理由をつけては部屋を抜けるようにした。

煩わしい人付き合いを好まないと分かっているので、帰宅後も彼が望まない限りは会話も交流も控えた。
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