..恋の方程式..

私たちの秘密

「行くやんなぁ?」

仲谷先生が逢沢先生に
意地悪そうに言う。

「無理ですってー。
五十嵐さん助けてー」

甘えた声で逢沢先生が
言う。

仲谷先生とは全く逆のタイプの先生…

「自分そろそろ帰りや。夜遅いし。」

仲谷先生は私の事を
いつも『五十嵐さん』か
『自分』って言うんだ…

「はーぃ。」

私は靴ばこまで行ってカードを通した。

帰り際に仲谷先生が言う。
「お疲れ様。気を付けて帰りや。最近変なの多いし。」

「うちなんか誰も襲わんよ…」

「そんなことないって。ほんま危ないから気つけや。」

お世辞だって
分かってるのに嬉しいんだ。
心配してくれる仲谷先生を愛しいと思った。

「五十嵐さん!後ろ隠れさせて!」
そう言って逢沢先生は私の肩に手をかけて
私の小さい体の後ろに隠れた。

仲谷先生が
職員室で他の先生と喋っている間に
帰ろうって魂胆。

バレバレだったけどね。

私と逢沢先生は一緒に塾を出て
一緒に階段を下りた。

階段を下りながら
プールに行く理由を
話してくれた…

「大阪に久しぶりに遊びに来た友達が
明日帰るねんやん。
だから行こう。
ってなってん・・
ほら。仲谷さんとかとはいつでも行けるやん?」

「やなぁ…」

「でも、ああやって誘われたら断られへんねん。」

「はは。先生優しいもんなぁ。」

「そんなことないけど…」

「うちも先生みたいな人になりたかったな…」

つい…
雰囲気に負けて本音がこぼれた…

「先生…」

「何?」

「私…人間があまり好きじゃないんだ…」

そう言って私は
逢沢先生に過去の事を話し始めた…

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