最後の恋 【番外編: 礼央目線】

「俺のじゃねぇし。お前の元カノだよ。」

「はぁ？！」


余計に訳がわからなかった。


俺に元カノなんてものはいない。


紫乃以外に付き合った人なんていないのだから。


「あーあ、あいちゃん可哀想。薄情な元彼に忘れられて…。」


面白がるように悲しそうな顔をして見せる真斗。


「真面目に答えろ。あいちゃんって誰だよ。」

「…ったく、仕方ねぇな。あいちゃんつったら如月幼稚園のあいちゃんしかいねぇだろ。お前の初恋の女の子で元カノのあいちゃんだよ。」


そう言ってイタズラな笑みを浮かべた。


「…紛らわしいんだよ、言い方が！元カノっていつの話してんだよ。」

「はは、悪りぃ悪りぃ。でも、あいちゃんに似てんじゃん、彼女の目元とか特に。」


そう言われるまで、あいちゃんの事なんて思い出すこともなかったけど言われてみたらそんな気がしてきた。


頭に思い浮かんだ記憶の中の小さくてかわいい女の子を高校生にしてみたら、松野さんの姿に重なった。