最後の恋 【番外編: 礼央目線】
「…キスして、礼央…」


どうしていいか分からなかった。


「お願い…」


次に聞こえたその声は少しだけ震えていて…俺はぎゅっと目を固くつぶると自分の思いを打ち消すように彼女の体を抱きしめキスをした。


俺は、紫乃の彼氏だから…


俺が紫乃を支えなきゃいけないんだ。


もうすでに後戻りなんて出来ないんだ。


叶えることのできない片思いは、ここで終わらすしかない。


そう思った。


「礼央…好き…。礼央は?」


「……俺も…」


なのに、その言葉を口に出すことはどうしても出来なかった。


お互いに教室に戻るため紫乃とは図書室の前で別れた。
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