小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「じゃあ返すぞ」



それから順に返されていく答案用紙。



無事に6割以上取れて喜ぶ人もいれば、あと一歩及ばす肩を落とす人もいた。



返される順は、座っている席順。



遂に、私の前の子が呼ばれた。



段々と大きくなる鼓動。



不安と緊張が入り交じる。



きっと大丈夫。



そう自分に暗示をかけながら、手に汗を握り名前が呼ばれるのを待った。



「次、須藤」



「は、はいっ」



まるでロボットにでもなってしまったかのように、うまく動かない身体。



手渡される瞬間、思わず怖くなって、ぎゅっと目を閉じた。



「よく頑張ったな、須藤。ちゃんと結城にお礼言っとけよ」



頭をガシッと掴まれて、驚きながら目を開けるとさらに驚いたのは、そのテストの点数。



「きゅ、90点っ!?」



数学でこんな数字、見たことない……



最後の応用問題は難しくて、最後まで解ききれなかったけれど、ほかの問題は見事に大きな丸が付けられていた。


< 103 / 252 >

この作品をシェア

pagetop