小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「じゃあ返すぞ」
それから順に返されていく答案用紙。
無事に6割以上取れて喜ぶ人もいれば、あと一歩及ばす肩を落とす人もいた。
返される順は、座っている席順。
遂に、私の前の子が呼ばれた。
段々と大きくなる鼓動。
不安と緊張が入り交じる。
きっと大丈夫。
そう自分に暗示をかけながら、手に汗を握り名前が呼ばれるのを待った。
「次、須藤」
「は、はいっ」
まるでロボットにでもなってしまったかのように、うまく動かない身体。
手渡される瞬間、思わず怖くなって、ぎゅっと目を閉じた。
「よく頑張ったな、須藤。ちゃんと結城にお礼言っとけよ」
頭をガシッと掴まれて、驚きながら目を開けるとさらに驚いたのは、そのテストの点数。
「きゅ、90点っ!?」
数学でこんな数字、見たことない……
最後の応用問題は難しくて、最後まで解ききれなかったけれど、ほかの問題は見事に大きな丸が付けられていた。