小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「……いないか」
近くまで来てみたけれど、結城くんはいなかった。
そりゃそうだよね。
結城くんは関係ないし、すぐに帰るよね。
それか、あの子のお誘いに乗って、カラオケにでも行っちゃったかな?
……って結城くんの性格じゃ、それはないか。
うまくかわして帰ってそうだ。
明日も学校あるし、会えるよね。
「私、なんでがっかりしてるんだろう」
結城くんと放課後会わなくてもいいなんて、せいせいするはずなのに。
出来れば関わりたくなかった人なのに。
それが不思議でたまらなかった。
きっと今は……
勉強を教えてくれたお礼を言いたいだけ。
してもらっておいて、そのままなんて非常識だから。
うん、ただそれだけだよ。
追試も疲れたし、帰って休もう。
私はそのまま中庭を後にした。
「さすがにもういないよね…」
私が中庭によっている間に、追試組はもう下校している。
残っている人といえば、まだ部活をしている人くらい。
今帰ろうとしている人はほとんどいなかった。