小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「それくらい取れて当然だよ。僕が教えてあげたんだから。」



なっ……!



この人は、頑張ったねとか努力の成果だよとか、褒めることは出来ないわけ?



少しでも期待した私がバカだった。



ありがとうなんか言ってあげないもんね。



「そうですね。そうでしたね!」



いいもん、いいもん!



もう絶対、結城くんなんか頼らないんだから!



先生に言われようと何しようと、ぜーったいに!



プチンと何かが切れた私は、結城くんから離れるように早歩きで家に帰る。



何故か結城くんは、そんな私のあとをついてきていた。



私が怒ってるのわからないわけ?



ついてこなくていいと言いたいところだけど、立ち止まってまで、話したいとは思えなくて、そのまま無視をして歩き続けた。



「須藤さん」



最後に名前を呼ばれたのは、自分の家の前に着いてから。



私は無視したまま、家の中へ入ってしまおうと思ったけれど、それは結城くんの大きな手によって阻止されてしまった。



「何よ」



「これ。今週の土曜日11時、最寄りの駅前待ち合わせね」



そう言って手渡されたのは、ケーキセット100円引きの券。



「何、これ」



「わからないの?今日まで頑張ったご褒美。


土曜日絶対だからね。約束破ったりなんかしたら、覚えててよ?じゃあ」



私の返事を聞く前に、結城くんは行ってしまった。



結城くん、今なんて言った?



「頑張ったご褒美」って言ったよね?



いつも私のことバカバカ言うくせに……



バカなのは結城くんじゃない。



素直にそう言えばいいのに。



さっきまで怒っていたのに、いつの間にかまた私は笑顔になっていて……



なんでだろう。



結城くんは、私の気持ちをコロコロ変える天才かもしれない。


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