小悪魔なキミに恋しちゃいました。
まだ私は、これをデートだとは認めていない。
それなのに、悠陽ちゃんに言われたおかげで妙に意識してしまうせいか、ずっと胸のドキドキが止まらない。
そのせいで歩くスピードも早まったのか、思ったよりも早く駅に着いてしまった。
待ち合わせ10分前だけど、結城くんはもういるだろうか。
木の影からそっと駅の方を覗いてみる。
そう言えば、ここの前とか具体的な待ち合わせ場所を決めてなかったななんて思っていたけれど、結城くんはすぐに見つけられた。
だって、駅前に異常な人溜まりが出来ているんだもの。
きっとあの中心にいるのは、結城くん。
学校の中でさえあんなにモテるんだ。
ナンパされるなんて、当たり前のことだろう。
……ところで、どうしようか。
私には、あの集団の中に割って入って、結城くんに声をかける自信はない。
かと言って、結城くんが気づいてくれるのもいつになるか分からない。
いっそのこと、帰ってしまおうか。
そう思った時だった。
「ねぇ、キミ。いるなら早く言ってよね」