小悪魔なキミに恋しちゃいました。
この声は……
「結城くん。その……忙しそうだったから」
「あのねぇ、キミが遅いからこんなに囲まれてたんだけど」
そんなこと言われてもね。
しかも、まだ待ち合わせ時間の前だし。
私のせいじゃなくて、結城くんのそのルックスのせいだと思うんですが……。
「まぁ、いいや。早くお店行こう。お腹空いた」
お店、それはきっとこの前くれたチケットのお店。
そのカフェは、最寄り駅からそんなに離れていない住宅街にひっそりと佇む、オシャレな場所だった。
結城くんがこんなお店を知っているだなんて……
なんだか想像がつかなくて、お店の前で立ち尽くしてしまう。
「ほら入るよ」
結城くんが木で出来た立派なドアを開け、お店の中に入っていく背中を追いかけていく。
「何名様ですか?」
「2人です」
「ではこちらへ」
結城くんは店員さんとスムーズに会話を進め、店員さんに席へと案内してもらった。
お昼前だったからか、混雑のピークはまだ来ていないようで、席の空き具合は半々というところだった。