小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「ねぇ、そんなに気にされるとこっちが落ち着かないんだけど」
俯きながら結城くんの後ろを歩いていた私が、かなり気になっていたらしい。
「だって……」
「あー、わかった。じゃあこれから僕に付き合ってよ」
「あっ」
「何、どうするの?付き合ってくれるの?」
「……うん」
これがお礼になるのか分からないけど……
結城くんは私からの返事を聞くと、私の手を引いて路地裏の方へと曲がると、高台への坂が見えてくる。
結城くんは、真っ直ぐその坂を登っていく。
「どこ行くの?」
「秘密」
行き先は教えてくれない。
遂に、私も知らない場所まで来て、細い道を抜けたその先。
そこは、今まで見た中でいちばん綺麗な世界が広がっていた。
ちょうど日が沈みかける頃。
見晴らしのいいこの高台からは、私たちの住む街並みが広がっていて、その屋根にオレンジ色の夕日が照り返す。
空も家も草木も……
何もかもが綺麗なオレンジ色に染まっていた。