小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「すみません。ちょっと抜けます」



「えっ」



静かな教室に響く、結城くんの声。



「どうした?」と驚く先生と、突然隣に立つ結城くんに驚く私。



「きゃあーっ!」



この大きい悲鳴は私じゃない。



クラスメイトの女の子達の声だ。



私はというと、結城くんの大きながっしりとした腕に抱き抱えられて声が出ない。



人は本当に驚くと、全く声が出ないらしい。



「こんなになるまで我慢するとか、本当にキミはバカだよね」



「えっ、ちょ……結城くん?」



ここ、教室だよ?



いつものトーンでそう言った結城くんは、今の状況を理解してるのかしていないのか。



「須藤さん保健室連れていくので」



結城くんは、成宮先生にそれだけ言い残して、私を抱きかかえたまま教室を出た。


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