小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「ね、ねぇ!下ろしてってば……!」



廊下も私を抱えたま歩く結城くんは、他の教室の窓からも丸見えで、授業を受けているはずの人たちも物珍しそうにこちらを見ている。



この状態はさすがにやばいって……



私、殺される!



「キミ、落とされたいわけ?嫌なら黙って」



早く降ろしてもらおうと、ジタバタしていると、結城くんにそう脅される。



さすがに落とされるのは困る。



しかもここ、階段だし。



「それと、こんなに高熱出してフラフラなのに、歩けるわけないでしょ」



あぁ、やっぱり私、熱あったんだ。



なんとなく身体が熱い気がしてたんだ。



それは結城くんに抱き上げられていたせいだと思ってたけど、違うんだね。



「そんなに見つめられてたら困るんだけど。ちゃんと保健室に連れて行ってあげるから寝てれば」



結城くんにそう言われてからは、よく覚えていない。



あのまま私は結城くんの腕の中で寝てしまったのか、途中から記憶が途切れていた。


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