小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「……さん、須藤さん」
「ん……ゆ、結城くん!?」
起きた瞬間、結城くんの顔がどアップに映って、思わず押し返してしまう。
「……ってぇ。バカなの?」
その手は見事に結城くんのおでこにクリーンヒットしたようで、痛がっていた。
最初は、なんで家に結城くんがいるの?なんて思っていたけれど、頭が働いてきて、結城くんが家まで送ってきてくれたことを思い出す。
「ほら、お粥冷めちゃうから早く食べなよ。食べたら薬飲むこと」
結城くんの視線の先には、小さな土鍋から湯気を立てる美味しそうなお粥と、同じお盆の中にお水と薬が置いてあった。
「食欲はある?」
「少しなら食べられる」
結城くんはゆっくり私の身体を起こしてくれて、お粥を近くまで持ってきてくれた。
「味見したから、大丈夫だと思うけど……はい、口開けて」
レンゲに少しだけすくって、結城くんの息で少し冷まされたそれが、私の口元へとやってくる。
それはまるで、あの日のオムライスのよう。
「あの、いただきます」
少し躊躇しながらも、せっかく作ってくれたお粥を拒むことは悪いと、一口口にした。