小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「じゃあ、これ片付けたら僕帰るから」
お盆ごと持った結城くんは、私の方を見てそう言った。
「うん、今日はありがとう」
「……別に、これでも少しは責任感じてるから」
「えっ?」
聞くところ、中庭に呼び出してるのは僕だからということらしい。
同じく雨に打たれた結城くんは元気で、私だけ風邪をひいてしまったんだから、免疫力とかのせいで、結城くんのせいだけではないのに。
そこら辺は律儀なんだ、とちょっぴり感心する。
「そんなとろんとした目で僕のこと見ないでくれる?僕にも理性ってものが……」
結城くんは宮野さんがどうのこうのとブツブツ呟いている。
私には結城くんの考えていることがよく分からなくて、ただ見つめる。
「あの……」
「もう、何でもないから。早く治さないと許さないからね」
そう言い残して結城くんは、部屋から出て行った。
……何だったんだろう。
変な結城くん。
今日一日、何だかんだお世話になった結城くん。
治ったらもう一回お礼くらいは言っておこう。
そう心に決めて、薬のせいか、また訪れた眠気に誘われそのまま夢の中へ落ちていった。