小悪魔なキミに恋しちゃいました。


そんな不思議なことは、たびたび続いた。



ある時は、シャープペンシル。



またある時は、教科書。



またまたある時は、体操着。



徐々に募る不信感。



思い当たることは、ただ一つ。



私が熱を出したあの日、結城くんにお姫様抱っこをされてしまったこと。



てっきり、結城くんのクール王子疑惑で噂は持ち切りだったけれど、ファンの裏では何か思われてるのかもしれない。



結城くんにお姫様抱っこされるなんて、王子ファンならば、誰もが羨むこと。



みんなの前でそれをされてしまったのだから、私が標的になってもおかしいことは無い。



最近私の無くし物が多いからと、悠陽ちゃんが心配してくれるようになったけれど、まだ確信がない私は「忘れちゃって……」と誤魔化してきた。



「なんかあったらすぐいいなよ」と言ってくれた悠陽ちゃんは、やっぱり優しい。



でも、直接なにかされた訳では無いから……ととりあえず流してきた。



あの日以来、極端に結城くんとは接触してないし、中庭の件はバレていないはず。



だから、そのうちすぐに収まると思っていた。



そんな私の考えは、甘すぎた。


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