小悪魔なキミに恋しちゃいました。
夏休みまであと1週間に迫ったある日。
放課後、体育館裏に呼び出された。
「ちょっと須藤さん、いいかしら?」
いつものように中庭に向おうとした、その時。
4人の女の子に捕まった。
その顔ぶれは、なんとなく見たことがある。
いつも放課後になると結城くんを探しに教室まで来ていた女の子達。
きっと、王子ファンのトップくらいに立つ人。
無言のまま体育館裏まで連れてこられた私は、そのまま壁に打ち付けられた。
何も、1ミリもきゅんと来ない壁ドン。
「……いっ」
コンクリートの壁に当たった背中は、ジンジンと痛む。
「あなた、何様なわけ?」
「あの、私は別に……」
……何もなくはないけど。
ありのままに話したら、それこそやられてしまう。
「何も無かったら呼び出してないわよ!」
「……っ」
あまりにも迫力が大きすぎて、萎縮してしまう。
「じゃあ、あれはなんなのよ。お姫様抱っこなんてありえないわ」
「そ、その……それは私が高熱を出して運んでくれただけで」
あれは、否定したんだよ。
やめて、おろしてって言ったのに、下ろしてくれなかったのは結城くん。
私はなんも悪くないんだから。