小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「茉莉、返事しろよ。ったく、何のために携帯持ってんの」
うんともスンとも鳴らないスマホで、電話をかける。
その相手は、須藤さん。
呼び出す音は聞こえているんだから、電源は切られていない。
しかも、この近くからは音は聞こえない。
僕がたまに、ファンとかいう女集団から逃げる時に使っている北階段。
この辺には居ないか……
そう、諦めかけた時だった。
「結城くん!いるの?結城くんっ!!」
小さな……でもハッキリと届いた僕の名前を呼ぶ声。
聞き間違えるはずがない。
この数ヶ月、毎日側で聞いてきたんだから。
「……茉莉っ!?」
名前をもう1度呼ぶと、キミはまた僕の名前を呼んだ。
間違いない、須藤さんだ。
キミはこの近くにいる。
古い図書室。
その前を通りがかった時、その声は大きく聞こえた。