小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「ほら、ついた」



ほら、ついたじゃないよ、もう。



「はぁ」と深いため息をつく。



でも、屋台が立ち並ぶそこからは、美味しそうな匂いがして、ちょっと気になってしまう。



「で、何食べたいの?」



「えーっと、わたあめ」



「ふーん」



お祭りといえば、わたあめ!



というくらい好きな私は、無意識にそう答えてしまっていた。



ハッとした時にはもう遅くて、私たちはもうわたあめ屋さんの前に来ていた。



「おじさん、わたあめ一つ」



「はい、毎度あり」



忙しそうにしていたおじさんからもらった、出来立てのフワフワわたあめ。



そうそう、これがいいの!



この口の中でとろけるフワフワのわたあめは最高……って。



「結城くん、お金払うよ!」



買わせてしまっていた事に気づいた私は、結城くんに慌ててそう言った。



「バカじゃないの。こういう時は男が払うの。キミは黙って食べて」



「なっ」



人がせっかく……と思ったけれど、目の前の美味しそうなわたあめに負けて、そのままご馳走になってしまった。



「よく食べるね、キミ」とからかわれながら、屋台の食べ物を満喫していると、あっという間に日は暮れ、夜空には星が輝き始めた。


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