小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「そろそろかな。こっち」



「えっ、どこに……」



花火がもうすぐ始まるという頃になると、さらに多くなる人の群れ。



「バカなキミだから迷子にならないように」



と繋がれたままの手に引かれて、人混みから離れていく。



「ちょっと、どこまで行くの、結城くん」



「……ついた」



しばらく歩いていくと、少し人混みから離れたところに、小さなスペースがあった。



「ここ、穴場スポット」



結城くんは、そう言って近くにあった大きな石でできたベンチに座った。



「キミも、そこにいないで隣座れば」



そう言われて、結城くんの隣に私も座った。



「あっ……」



私が座るのを待っていたかのように、ちょうど打ち上がった大きな花火。



「綺麗!」



雲もなく、心地よい風が吹いている今日は、絶好の花火日和だ。



赤、青、緑、ピンク、白……



色とりどりの大輪が、夜空に咲き誇る。


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