小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「……っ」
ずっと無言でいる結城くんが気になって、横を見てみると、どこか寂しそうに空を見上げていた。
考えてみれば、今日はたまに遠くを見ていることがあって、隣にいるのに心ここにあらずって感じだった。
私に会うまでに何かあったのだろうか。
「……結城くん、」
「ねぇ、キミさ」
ドーンっと大きな花火が打ち上がった時、結城くんの頬にキラめく何かが見えた。
本当に一瞬で、暗闇に戻った時にはわからない。
「この花火の色が無くなったらどうする?」
「色が、無くなる?」
突然よくわからないことを言い出した結城くんの、考えていることはもっとわからない。
「もうすぐ、綺麗な青空も、夕焼けも、青々とした葉の色も、花も街もキミも……きっと白黒になる」
「結城くん、何言って……」
「キミは僕のことが嫌いなんでしょ」
いつも小悪魔で意地悪で強い口調で私をバカにしてくるのに……
今ここに、そんな結城くんはいない。
一体ここにいるのは誰なのかと問いたくなるくらい、弱々しい結城くん。