小悪魔なキミに恋しちゃいました。




***





それからまた数週間。



私たちの関係も変わらず、とにかく何も無い平凡な日々が続いていった。



私が結城くんと中庭で会ったあの日より、前に戻った。



ただそれだけ。



少し違うのは、学校中で王子様と呼ばれている結城くんの性格が爽やかな笑顔を浮かべる好青年から、クールで無口な王子に変わったくらい。



キャーキャーと周りで騒ぐ女の子達も変わりはない。



何となく立ち寄った中庭には、やっぱり結城くんが来ることはなかった。



「ねぇ、大和。玲央くん、なんかあったわけ?」



ある時、悠陽ちゃんがこそっと大和くんに結城くんの事を聞いていた。



突然変わってしまった結城くんに、悠陽ちゃんもずっと少なからず違和感を感じていたみたいだった。



「いや、なんかって言われてもな…」



大和くんは、きっと何か知っているんじゃないか。



だって、結城くんの1番の友達なはずだから。



突然結城くんの話を振られた大和くんは、困ったような顔をしていた。


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