小悪魔なキミに恋しちゃいました。
第1章─綺麗なキミを見つけました。
変わらない高校生活
「おはよう」
そんな挨拶が飛び交う、清々しいいつもの教室────ではなく。
この学校の朝はそんなものじゃない。
遠くから聞こえてくる甲高い悲鳴に近い声。
そこら辺にいる人よりも、人一倍輝くオーラを持つ1人の男子が、廊下側、一番後ろの席の私の背中を通り過ぎた。
「きゃああああっ」
ハートが飛び出そうなほどの歓声が上がる。
「……うるさいっ」
そう呟いて耳を塞ぐ私、須藤 茉莉(すどう まり)。高校2年生。
こんなの、漫画や恋愛小説の中だけだと思っていた。
去年、この高校に私たちと同じタイミングで、超絶イケメン、学校一の王子様と謳われたある生徒が入学してきた。
その生徒の名は、結城 玲央(ゆうき れお)。
端正な顔立ちに、すらっと伸びるスタイル抜群の背。
その姿は、テレビや雑誌に出ているモデルや俳優よりよほどかっこいい。
そんな王子様に、みんな夢中なのだ。