小悪魔なキミに恋しちゃいました。


まさか、結城くんのことについて今聞かれるとは思わなくて、戸惑ってしまう。



……どう思ったと言われても。



私の心中は複雑だ。



なんで結城くんはあんなことを言ったのだろうと。



結城くんから、意味のわからないことを言い出して、別れを切り出してきたくせに。



多分、小悪魔だけど優しい結城くんは、私たちのことを助けようとしてくれただけのこと。



助けるためについた嘘。



だって、そういうことでしょ?



1度も私のことなんて見ないで……



すぐにキミはそこから立ち去った。



「何度も言うけどさ、素直になったら?茉莉」



いつものからかうような悠陽ちゃんとは違って、真面目に話しているのがわかる。



「素直にって言っても、私は……っ」



嫌い……



本当にそうなの?



「ねぇ、茉莉。私さ、そんな抜け殻みたいな茉莉の笑顔もう見ていたくない」



「悠陽ちゃん……」



そう言った悠陽ちゃんの目には、涙が浮かんでいて。



私、そんなひどい顔してたかな。


< 217 / 252 >

この作品をシェア

pagetop