小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「久しぶりだねぇ、玲央くん」



「……お久しぶりです」



夏休みの空き時間を使って行ったのは、地元の大きな病院。



「最近、調子はどうだい?」



「まぁまぁ、ですかね」



久しぶりに会った、担当の医師は少しだけシワが増えていた。



記憶にある優しい笑顔で問いかけてきた答えに、僕は曖昧に返事をした理由。



それは、密かに違和感を感じ始めていたから。



「じゃあ、見てみようか」



「はい」



年1回の定期検診。



僕が来ているのは、眼科だ。



様々な機会を使って、調べられる。



「玲央くん。残念だけど───」



全ての検査を終えて、しばらくしてから呼ばれた僕に、先生は固く拳を握って結果を口にした。


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