小悪魔なキミに恋しちゃいました。


僕はバカだな。



その根拠の無い言葉を間に受けて、きっと大丈夫だと思い続けてきた。



絶対大丈夫なんて、そんなこと誰も言っていなかったのに。



突然その時はやってきた。



高校に入って、お気に入りの中庭を見つけてから、毎日同じようで違う空を見ていた。



そんなある日、綺麗な青空にモヤがかかるようになってきた。



雲は一つも無かったはずなのに。



少しだけ話は聞いていたんだ。



初めは青から色を失っていく。



だから僕はそんな空を見た時……



あぁ、もう僕の世界から色がなくなるんだ。



そう確信したんだ。



「でも、諦めちゃいけないよ。技術は進歩しているし、遅らせることもできる。それに、色がすべて無くなるとは限らない。だから、一緒に少しずつ頑張っていこう」



「わかりました」



先生は必ず治るとは言わなかった。



発症してしまった以上、完全に元に戻ることはないから。


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