小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「……っ」
いきなり胸ぐらを掴まれて、解けた腕のせいで目の前が明るくなる。
そこには血相を変えた大和がいた。
「何勝手に諦めてんだよ。事故のせいで玲央が病気を抱えてることくらいは知ってるよ。玲央は隠してるんだろうけど、そのせいで苦しんでることも近くにいる俺はわかってるつもりだ」
そっか、バレてるのか、大和には。
中学の頃、交通事故にあった僕がその後遺症で色の識別が出来なくなるかもしれない。
そのことについては、当時から仲の良かった大和には伝えていた。
少なからず、ずっと不安に思っていた。
その気持ちは、1度も言葉に出したことはなかった。
「……だったらなに」
だからって、この状況がなにか変わるって?
そんなことは無い。
僕はきっとこのまま病気は進んでいって、いずれモノクロの世界で生きることになるだろうし。
「玲央、お前、茉莉ちゃんが好きなんだろ!?前言ってたよな?だったら自分から突き放してどうすんだよ。突き放しても毎日姿を追って、気になって仕方がないくせに」
勢いよく言い放った大和は、掴んでいた手を乱暴に離して、僕の上から離れた。
その衝撃で、少し浮いていた背中が柔らかい芝の上に打ち付けられる。