小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「ふーん」
私の言葉に反応は返ってきたものの、掴まれている腕は離してくれる様子は微塵もない。
「あの、そろそろ帰りたいので離してくれませんか?」
クラスメイトに敬語を使うなんて……と心にモヤを感じながら、早く離すよう要求する。
優しいみんなの王子様から一変してしまった結城くんには、そんな私の言うことなんて通じるわけもなく、話してくれる様子は全くない。
「ちょっと……」
「あのさ、僕がキミをそのまま返すと思う?」
……はい?
意味が、わかりません。
「1つ条件がある」
その結城くんの言葉に、嫌な予感しか感じない。
YesともNoとも言わず、ただ黙秘する。
「キミさ、今日から僕の彼女ね。覚えておいて」
「…………!?」
私は、結城くんの口から発されたそれに、言葉を失った。