小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「……これから色がわからなくなるかもしれないんだよ。この綺麗な空も、木の葉も夕日もわからなくなる。この世界が綺麗だと、僕の見る景色が同じように綺麗だと笑う茉莉に、見せてあげられなくなる」
「だからなんだよ。何もやってねーじゃん、玲央は」
確かにそうだ。
僕は何もしていない。
「今すぐにとは言わねーけど、そんなに自分から遠ざけといてへこむくらいなら、ぶつかってみてからへこめよな」
大和は、木に寄りかかってそう言った。
「あぁ、それと……もし、それで玲央の想いが砕け散ったら慰めてやるよ」
僕の方を見て、ニカッと笑う。
はぁ。
大和に僕は、かなわない。
「それじゃ、俺は戻るわ。あんまり思い詰めんなよ」
日が傾いてきた頃、大和は俺に背を向けながら手を振って、戻っていく。
「大和、ありがとう」
背を向けたままの大和に、お礼を言う。
何となく気が晴れたような気がするよ。
「あとひとつ。俺は玲央が病気だろうがなんだろうがお前のこと好きだし?友達はやめねーからな」
「ふっ……」
大和も本当にバカだ。
そして、僕もバカだ。
「僕が好きとか、気持ち悪すぎ」
「うっせーよ」
……ありがとう、大和。