小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「……これから色がわからなくなるかもしれないんだよ。この綺麗な空も、木の葉も夕日もわからなくなる。この世界が綺麗だと、僕の見る景色が同じように綺麗だと笑う茉莉に、見せてあげられなくなる」



「だからなんだよ。何もやってねーじゃん、玲央は」



確かにそうだ。



僕は何もしていない。



「今すぐにとは言わねーけど、そんなに自分から遠ざけといてへこむくらいなら、ぶつかってみてからへこめよな」



大和は、木に寄りかかってそう言った。



「あぁ、それと……もし、それで玲央の想いが砕け散ったら慰めてやるよ」



僕の方を見て、ニカッと笑う。



はぁ。



大和に僕は、かなわない。



「それじゃ、俺は戻るわ。あんまり思い詰めんなよ」



日が傾いてきた頃、大和は俺に背を向けながら手を振って、戻っていく。



「大和、ありがとう」



背を向けたままの大和に、お礼を言う。



何となく気が晴れたような気がするよ。



「あとひとつ。俺は玲央が病気だろうがなんだろうがお前のこと好きだし?友達はやめねーからな」



「ふっ……」



大和も本当にバカだ。



そして、僕もバカだ。



「僕が好きとか、気持ち悪すぎ」



「うっせーよ」



……ありがとう、大和。


< 230 / 252 >

この作品をシェア

pagetop