小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「あの、実は玲央はな、」
"病気なんだ"
静かにそう言い放ったその言葉に、私と悠陽ちゃんは反応できずにいた。
結城くんが、病気?
「そ、そんな……何の病気なの、玲央くんは」
少しずつ頭の中が整理されてくると、途端に冷や汗が流れ落ちてくる。
「死ぬわけじゃねーよ。ただ、色が見えなくなるんだ、アイツ。運が悪ければモノクロの世界になっちまうけど、今のところは青色が見にくくなってる」
だから……
だからあの時結城くんは、悲しそうな顔で言ってたんだ。
空を見上げて、綺麗な色で輝く花火をその目に映しながら。
"この花火の色が無くなったらどうする?"
"もうすぐ、綺麗な青空も、夕焼けも、青々とした葉の色も、花も街もキミも……きっと白黒になる"
あの時、頬に光ったあれは、結城くんの涙だったんだ。
花火の一瞬の光でわからなかったけれど。