小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「玲央は滅多にその不安は口にも顔にも出さない。そんなアイツが、最近はどこかおかしかった。きっとそれだけ不安で潰されそうだったんだろうな」



大和くんの結城くんを思うその気持ちは、きっと計り知れないほど大きいんだと思う。



それは中学生の頃から積み上げてきたふたりの友情の証。



「ただな、絶対見えなくなるわけじゃないんだ。酷くならないまま過ごせるかもしれない。だから、玲央には希望を捨てずにいて欲しい」



今まで見たことのない大和くんの綺麗な涙につられて、私たちも涙を流す。



ごめんね、結城くん。



私は強がりで、あの日の結城くんの不安に気づいてあげられなかった。



大和くんに聞けば、結城くんが私に別れを告げたあの日、ちょうど病院で今まで発症せずにいた病気が発症してしまったらしい。



「ねぇ、茉莉ちゃん」



一呼吸置いてから、大和くんが私に向き合った。



それに合わせて、私も大和くんの方へと身体を向ける。


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