小悪魔なキミに恋しちゃいました。
"結城くんの彼女"
その響きは、この学校に通っている女の子は誰しも手にしたいもの。
それは、私を除いて……の話ではあるけれど。
その彼女に私がなれって?
冗談じゃない。
「意味がわからないので。……その、さようなら」
いい加減に離さない手を、無理矢理振りほどいて立ち去ろうとするが、力が強まるその手を離すことはできず、むしろ難しくなった。
「僕を振るなんていい度胸だね?」
今日はとんだ災難な日だ。
きっと占いは最下位だ。
「言っておくけど、キミに拒否権はないからね?」
あぁ、神様、仏様……
いるのならば、私をお助けください。
そんな願いも虚しく、今日から私はみんなの王子様、結城玲央の彼女となってしまった。