小悪魔なキミに恋しちゃいました。



「行ってきます」



学校までの道のりはさほど遠くはないが、その足取りはとても重い。



そのせいか、足を進めどなかなか縮まらないその距離が遠く感じてしまう。



それでもやっぱり進んでいるわけで、気づいた頃には学校の目の前まで来ていた。



「茉莉〜!」



「わぁっ、ゆ、悠陽ちゃん!脅かさないでよ、もう……」



後ろから来ていた悠陽ちゃんには、全然気づかず、ドンっという衝撃で振り返る。



「ごめんって!ほら、この通り!」



手を合わせながら頭を下げて謝るものだから、面白くて笑ってしまう。



「ちょっとー、謝ってるのに笑うなんてひどくない?」



膨れっ面をしたかと思えば、私につられて笑い始める悠陽ちゃん。



そんな悠陽ちゃんと話していると、どこからが不思議と元気が湧いてくる。



「ありがと、悠陽ちゃん」



「え……?何?」



意味深な私の言葉にはてなを浮かべる悠陽ちゃん。



昨日のことは恐ろしくて、まだ言えないけれど……



「ううん、何でもない。早く教室行こ?」



「そう?よし、なら行こいこ〜!」



登校してくる他の生徒の流れに乗りながら、校門をくぐった。


< 29 / 252 >

この作品をシェア

pagetop