小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「行ってきます」
学校までの道のりはさほど遠くはないが、その足取りはとても重い。
そのせいか、足を進めどなかなか縮まらないその距離が遠く感じてしまう。
それでもやっぱり進んでいるわけで、気づいた頃には学校の目の前まで来ていた。
「茉莉〜!」
「わぁっ、ゆ、悠陽ちゃん!脅かさないでよ、もう……」
後ろから来ていた悠陽ちゃんには、全然気づかず、ドンっという衝撃で振り返る。
「ごめんって!ほら、この通り!」
手を合わせながら頭を下げて謝るものだから、面白くて笑ってしまう。
「ちょっとー、謝ってるのに笑うなんてひどくない?」
膨れっ面をしたかと思えば、私につられて笑い始める悠陽ちゃん。
そんな悠陽ちゃんと話していると、どこからが不思議と元気が湧いてくる。
「ありがと、悠陽ちゃん」
「え……?何?」
意味深な私の言葉にはてなを浮かべる悠陽ちゃん。
昨日のことは恐ろしくて、まだ言えないけれど……
「ううん、何でもない。早く教室行こ?」
「そう?よし、なら行こいこ〜!」
登校してくる他の生徒の流れに乗りながら、校門をくぐった。