小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「おはよう、玲央くんっ!」
「玲央くん、今日クッキー焼いてきたの!」
そんな甲高い声が響き渡る。
「みんなおはよう。ごめんね、甘いの苦手なんだ……気持ちだけ受け取っておくね?」
ニコッと王子様スマイルを残し、自分の席についた王子様に、また「キャーっ」という声が教室中……
いや、廊下へも響く。
うるさい、うるさいっ。
朝からそんなに叫んで、声がかれてしまわないのだろうか。
結城くんもだ。
あんな営業スマイルを貼り付けて、嫌にならないのだろうか。
私はそんな現場を横目に、ため息を一つついた。
「はぁ〜今日もかっこいいわ、玲央くん」
私の前で、乙女のようにそんな声を漏らすのは、私の親友・宮野 悠陽(みやの ゆうひ)。
「本当、悠陽ちゃんは結城くんのこと好きだよね?」
「そういう茉莉は、玲央くんのこと嫌いだよね。あんなにかっこいいのに〜」
「確かにかっこいいのは認めるけど……」
そう、顔はかっこいいんだ。
確かにイケメンで、モテるのもよくわかる。
ただ、あの笑顔が気に食わない。
絶対あれは嘘の笑顔だと思うから。
他の女子はそれに気づかないのか……その方がおかしい話で。
きっとルックスの良さで、かっこよさが勝っているのだろうけど。