小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「……ごめん、悠陽ちゃん。せっかく誘ってくれたんだけど」
「あれ、もしかして予定あった?」
せっかくの好意で誘ってくれたのに、とても申し訳ない。
出来ることなら、約束を放り出して悠陽ちゃんについて行きたい。
もしそんなことをしたら……そう考えるだけで背筋が凍る。
「あの……実は今日も先生に呼ばれてて」
そんなことを言うと、「次は何をやらかしたの!?」と悠陽ちゃんに驚かれる始末。
何もしてないよ、今日はね。
「何もしてないよ」と誤解を解いたところで、悠陽ちゃんは「終わるまで待ってるよ」と言ってくれたけれど、先生に呼ばれたなんて嘘をついているから、そんな訳にはいかない。
「またどれくらいかかるかわからないから、悠陽ちゃんに悪いし先に帰ってて?」
「そっか、わかったよ。なんだか分からないけど、茉莉ファイト!」
「うん、ありがとう」
悠陽ちゃんとは教室で別れの挨拶をした。
悠陽ちゃんの後ろ姿を見送ってから、教室の中を見渡すが、結城くんの姿はもう無い。
きっともう中庭に行っているんだろうか。
大きく深呼吸をして、重い足を中庭へと動かした。