小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「今更、やっぱりやめるなんて無しだよ」



結城くんは、口早にそう言った。



でも、私が望んでるのはそうじゃない。



もちろん、大嫌いな王子と毎日会うなんて、ましてや名前だけでも彼女になってるなんてことは、今すぐにでも辞めたいところだけど……



「違うよ。ただ、親友の悠陽ちゃんには隠したくないなって思って」



悠陽ちゃんには、本当の事を言っておきたい。



これ以上、嘘を積み重ねたくない。



さっきの反応とは違って、しばらく黙り込む結城くん。



その間に、変な汗が出る。



「勝手にしたら?」



「……え?」



結城くんの事だから、「絶対ダメ」とか言うと思ったのに。



理想の答えだけれど、予想外の展開に間抜けな声を出してしまった。



「だから、好きにしたらいいって言ってるでしょ?キミ、バカなの?」



軽く悪口言われた気がするけど……



「いや、その……結城くんなら否定するかなと思って」



「何?キミは僕にダメって言って欲しかったわけ?」



「そ、そんなことないっ」



「ならいいじゃん」



うん、いいの。



でも、あまりにもびっくりしちゃって……



大嫌いな王子にも、少しだけいいところがあったみたい。


< 43 / 252 >

この作品をシェア

pagetop