小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「今更、やっぱりやめるなんて無しだよ」
結城くんは、口早にそう言った。
でも、私が望んでるのはそうじゃない。
もちろん、大嫌いな王子と毎日会うなんて、ましてや名前だけでも彼女になってるなんてことは、今すぐにでも辞めたいところだけど……
「違うよ。ただ、親友の悠陽ちゃんには隠したくないなって思って」
悠陽ちゃんには、本当の事を言っておきたい。
これ以上、嘘を積み重ねたくない。
さっきの反応とは違って、しばらく黙り込む結城くん。
その間に、変な汗が出る。
「勝手にしたら?」
「……え?」
結城くんの事だから、「絶対ダメ」とか言うと思ったのに。
理想の答えだけれど、予想外の展開に間抜けな声を出してしまった。
「だから、好きにしたらいいって言ってるでしょ?キミ、バカなの?」
軽く悪口言われた気がするけど……
「いや、その……結城くんなら否定するかなと思って」
「何?キミは僕にダメって言って欲しかったわけ?」
「そ、そんなことないっ」
「ならいいじゃん」
うん、いいの。
でも、あまりにもびっくりしちゃって……
大嫌いな王子にも、少しだけいいところがあったみたい。