小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「元々、周りに言いたくないって言ったのはキミだよね。それに悠陽ちゃんって、いつもキミと一緒にいる宮野でしょ。あの子なら、他に口外しないんじゃない?」
結城くんはそう言って、寝転がっていた身体を起こした。
「あ、ありがとう、結城くん」
「……」
何故か、私がお礼を言うと、顔を背けてしまった。
その理由は分からないけれど、何がともあれ、これで悠陽ちゃんに嘘をつかないで済む。
早速明日打ち明けよう。
───ポツッ、ポツッ
「あっ……」
私たちの話が終わるのを待っていたかのように、とうとう雨が降り始めた。
木陰に隠れているからか、まだ濡れずに済んでいる。
「そろそろ帰るよ」
いつもは、ここで別れる私たち。
でも、今日は違った。
「何、勝手に帰ろうとしてるの?」
先に帰ろうとしていた私は、腕を引かれて呼び止められる。
「なんで……」
「なんでって、一緒に帰るって言ってんの」
この人は、一体何を……
「そ、そんなことしたら私たちが会ってることバレちゃう」
万が一バレたとしたら、あとに待っているのは、王子様ファンの女の子からの嫌がらせだ。
そんなのは絶対に嫌。
ましてや大嫌いな王子のせいで。