小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「僕は別にバレてもいいけど?」



そりゃあ、結城くんはどうでもいいかもしれないけれど。



だからと言って、はい分かりましたとは言えない。



「キミは何?僕に濡れて帰れって言うの?」



「えっ、傘ないの……?」



「それに、傘があれば顔は見られないんじゃない?」



そう言うなり、私の傘を器用に奪い取って広げていた。



「ほら、帰るよ」



「ま、待って」



私の傘を持ってかれたら、私が濡れて帰らなきゃいけない。



YesともNoとも言えないまま、結城くんに遅れを取らないよう、小走りで同じ傘の下に入った。



……これじゃあ相合傘。



カップルでもないのに、って私たち一応付き合ってることになってるんだっけ?



「ねぇ、そんなに離れてたら濡れるよ?」



男の子と隣合わせで歩くなんてことは、もちろん初めてで、どう距離をとったらいいか分からず、思わず距離を置いてしまっていた。



そんな私を、エスコートするかのようにグッと肩に手を添えられて、傘の内側に入れられた。



その拍子にぶつかってしまう私の肩と結城くんの腕。



ただぶつかってしまっただけなのに、その触れた部分が熱く火照る。



鼓動がうるさい。



雨の音すらも消し去ってしまいそうなほど。


< 45 / 252 >

この作品をシェア

pagetop