小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「まぁ、それは置いといて」
さらりとすごいことを口にしてしまう結城くん。
それに顔はイケメンだから、女の子のひとりやふたりくらい付き合ったことだってあるだろう。
いや、きっとそれ以上に。
そんな人から見たら、何でもないことなんだろうか。
「まずこれ」
そう言って結城くんから、小さな紙を渡された。
「……これは?」
「僕の連絡先。家に帰ったら絶対ここに連絡入れること」
ゆ、結城くんの連絡先!?
これはなかなか手に入れたくても手に入らない代物だよ?
王子ファンの女の子たちが、どれほどこの情報を欲しがっていることか……
とんでもないものを貰ってしまったと、手が震えた。
「これから言うことは絶対守ること」
そう続けて、"結城くんからの連絡には絶対返すこと"、"彼女である以上、結城くんの側から離れないこと"、"私には拒否権はないこと"を約束させられた。
「これはキミと僕との恋愛契約だから」
私には拒否権はない。
そう言われた時点で、私は何も言えない。
言い返すことくらいはできるかもしれない……
ただ、そんなことをした時には、きっとバラされる。
それだけはどうしても避けたい。
私は、結城くんとの恋愛契約に従う他はなかった。