小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「あっ、ここ」
しばらく歩いて、私の家が見えてきた。
「キミの家ここなの?」
「……はい」
……って、あれ?
これって私の家に帰ってきちゃって良かったの?
結城くんは傘がなくって、私の傘に入って帰ってきたんだ。
結城くんの家に送らなきゃいけないのは私なんじゃ……
肝心なことに、自分の家に着いてから気づく。
「今頃気づいたの?やっぱりキミはバカだね」
ハッとしていたのがバレたのか、結城くんにまたバカにされた。
でも、これは私が悪い。
「ご、ごめんなさい……あの、この傘使っていいから」
「謝ることないんじゃない?バカなキミを僕が送りたいと思っただけだし」
バカバカバカバカって……!
そんなにバカって言わなくたっていいじゃない。
なんて思ったけれど、その後にさらっとすごいことを言われたことに気づく。
「あの、今なんて?」
「……何でもない。んじゃあ、遠慮なく傘借りてく。また明日」
結城くんはそう言い残して、私の返事を聞くこともなく雨の中帰って行った。