小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「あのね、悠陽ちゃん」
雨の中、大嫌いな王子と相合傘をして一緒に帰ってしまった次の日。
早速私は、その日の放課後、悠陽ちゃんを人気のない場所に呼び出して、運悪く王子と鉢合わせてしまったあの日から今日に至るまで洗いざらい話した。
「…はぁっ!?王子の彼女!?」
「ゆ、悠陽ちゃん!声、大きいよ!」
それはとても驚いていた。
まぁ、それも無理ないだろう。
学校中の王子様は人当たりもよく、誰にでも笑顔を振りまき、大勢のファンが集まってくるような人気者。
告白だって何度されているのかわからない。
でも、誰かと付き合ったという話は全く聞いたこともなく、王子の彼女になるのは、夢のまた夢なのだ。
「でも、なんで茉莉が……よくオッケーしたね」
それもそう。
私は散々、王子は大嫌いだと言ってきたから。
悠陽ちゃんの言うこともよくわかる。
「だって、断れる雰囲気じゃないというか…ほぼ強制的っていうか……」