小悪魔なキミに恋しちゃいました。
そんなこと言われても……
綺麗で、美人という言葉が良く似合う、悠陽ちゃんに言われても説得力がない。
それよりも、顔の表情から考えが読み取られてしまうという方が大問題。
顔に出さないように気をつけようと、心の中で誓った茉莉であった。
「さぁ、ホームルーム始めるぞ。席につけ〜」
ガラリと教室のドアを開けて入ってきた、私たちの担任こと、成宮先生。
成宮先生の声を聞いて、バタバタとみんなが席につく。
「起立、礼」
学級委員長の号令で立ち、朝の挨拶をする。
「着席」
みんなが座ったことを見計らって、今日の連絡事項を話し始める。
担任の成宮先生は、私の苦手な科目、数学の担当をしている先生。
話すととてもフレンドリーで、面白いからか、生徒からよく慕われている。
しかし、授業は別である。
それはそれは、厳しいのなんの……。
課題を忘れたり、授業中に居眠りなんかをしたものなら、目をつけられて放課後に雑用を頼まれてしまう。
おまけに、課題プリントがどっさりだ。
それを知っているからか、成宮先生の授業で居眠りをする人は誰もいない。
……私を除いて。