小悪魔なキミに恋しちゃいました。



そんなこと言われても……



綺麗で、美人という言葉が良く似合う、悠陽ちゃんに言われても説得力がない。



それよりも、顔の表情から考えが読み取られてしまうという方が大問題。



顔に出さないように気をつけようと、心の中で誓った茉莉であった。



「さぁ、ホームルーム始めるぞ。席につけ〜」



ガラリと教室のドアを開けて入ってきた、私たちの担任こと、成宮先生。



成宮先生の声を聞いて、バタバタとみんなが席につく。



「起立、礼」



学級委員長の号令で立ち、朝の挨拶をする。



「着席」



みんなが座ったことを見計らって、今日の連絡事項を話し始める。



担任の成宮先生は、私の苦手な科目、数学の担当をしている先生。



話すととてもフレンドリーで、面白いからか、生徒からよく慕われている。



しかし、授業は別である。



それはそれは、厳しいのなんの……。



課題を忘れたり、授業中に居眠りなんかをしたものなら、目をつけられて放課後に雑用を頼まれてしまう。



おまけに、課題プリントがどっさりだ。



それを知っているからか、成宮先生の授業で居眠りをする人は誰もいない。



……私を除いて。


< 5 / 252 >

この作品をシェア

pagetop