小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「よかったね、茉莉」
「へっ、何のこと?」
「何のことって、数学よ、数学!あの問題答えられなかったらまた雑用頼まれてたかもよ?」
悠陽ちゃんと向かい合い、お弁当を広げながら話す、昼休み。
話題は、ついさっきの数学の時間での出来事。
「そ、そうかもしれないけど……あれはありえないよ」
がくりと肩を落とす私。
恥ずかしいし、結城くんからは嫌がらせされるし、散々だ。
授業中、後ろの結城くんにつつかれたり、髪の毛を引っ張られたりされたことを、周りに聞こえないよう悠陽ちゃんに話すと、何故かニヤニヤと笑っていた。
私はこんなにもブルーな気持ちだというのに。
「なんで笑ってるのー」
「いや、いい惚気話だなって思ってさ」
そう言って、悠陽ちゃんはおにぎりを一口ぱくりと口に入れた。
「の、惚気話って!全然そんなんじゃないからっ!!」
私が慌てて否定するも、悠陽ちゃんは聞く耳持たず。
モヤモヤした気持ちを吹き飛ばすかのように、お弁当をかきこんだ。