小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「わっ」
腕を後ろに引かれて、大きな腕の中に包まれている私。
「よかった」
「……え?」
この声は、結城くん。
一体どこから……?
「LINEの既読はついてるのに返事は来ないし、待ってても全然来ないし…何かあったのかと思った」
だ、誰ですか?この人。
だっていつもの結城くんじゃない。
何この甘えん坊のような生き物は。
「えっと……結城くん。離して、くれませんか?」
大嫌いな奴のはずなのに、後ろからずっと抱きしめられている私の心臓は、もう持ちそうにない。
「僕が助けてあげたのに、なんでアイツにばかり笑顔で……本当、ムカつく」
「……へ?」
誰に対してか「ムカつく」と言った結城くんの私の腰に回す腕の力が、少し強くなった。
もしかして、これってヤキモチってこと?
よく恋愛小説とかに出てくる、好きな子に近づく異性に妬いてしまう……
結城くん、本当に私の事が好きなの?
い、いやそんなことないよね。
でも……
なんだか弱々しい結城くんを見ていると、悪い気がして謝ろうかと思った。