小悪魔なキミに恋しちゃいました。


「懲りないキミには、お仕置きしなきゃね」



「お、お仕置き……」



そのワードには嫌な予感しかしない。



だって、そのお仕置きは……



「……っ」



キスだから。



静かなフロアに、大きな鼓動が鳴り響く。



バカ、結城くんのバカ。



これで大嫌いな王子からのキスは2回目。



「ふふっ、いい顔してるね。もう1回奪っちゃいたいくらい」



「なっ」



いい顔って何!?



突然子犬のように甘えてきたかと思えば、悪魔のように私をからかう結城くん。



そんなキミは、まるで小悪魔だ。



「お仕置きされたくないなら、アイツ。大和に笑顔向けないで」



大和って……



結城くんの友達の大和くん?



今は、その大和くんの隣の席だから、話すことも多いし、そんなの無茶だよ。



「無理だ」と言おうとした矢先、唇に人差し指を当てられる。



「拒否権はないから、ね?」



そう言って、私をそのまま残して結城くんは行ってしまった。



……ありえない。



そんなの無理に決まってるじゃん。



教室に戻ったら、また結城くんの前の席。



戻るのさえも憂鬱だ。



バカバカ、バカバカっ!



やっぱり。



やっぱり、結城くんなんか大っ嫌いだ。


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