小悪魔なキミに恋しちゃいました。
悠陽ちゃんが数学について、突っ込んでくる理由は2つある。
まずは、私が数学が苦手で、居眠り癖からよく成宮先生に目をつけられていること。
これはもう前からの話だから、特に変わったことは無い。
もう一つが重要で、その居眠り癖から寝ようと私がウトウトしていると、後ろから結城くんが髪の毛を引っ張ったり、指でつつかれたり……
席替えをした初日からやられているイタズラが今も続いている。
そのことを相談すると、「本当仲がいいわね〜」とおばさんのようにからかってくるのだ。
悠陽ちゃんからすれば、これはイチャイチャしているように見えるらしい。
全くそんなことは無く、私は嫌で嫌で仕方がないというのに……。
しかし、そのお陰で数学の時間の居眠りは減り、成宮先生に雑用を頼まれることは最近なくなった。
そんなこんなで、結城くんに「やめて」と強く言えないというのもある。
そうこうしているうちに、授業の始まりを告げるベルがなり、成宮先生が教室に入ってきたのを合図に数学の授業が始まった。
今日はまだ1度も声をかけられていない。
だからか、緊張感もだんだん減り、食後の満腹さと子守唄の問題で眠たくなってきた。
「……ふぁっ」
思わず小さな欠伸がでる。
寝ない寝ない、寝ちゃいけない。
そうは思っても、身体が言うことをきかない。
授業の半分が過ぎたところで、突然成宮先生が私の名前を呼んだ。