小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「……え、嘘っ」
名前を呼ばれ、答案用紙を受け取ったまま思考が停止する。
出来ないなりに頑張った。
元々勉強が苦手な私は、頭のいい悠陽ちゃんに手伝ってもらいながらもこの2週間、出来ないなりに頑張ったのだ。
ほかの教科は全て返ってきて、点数はいいとは言えないが、平均くらいは悠陽ちゃんのおかげで何とか取ることが出来た。
残すものは数学。
やっと数学の答案が返ってく日がやって来て、1番苦手な教科だから心配はあったが、一生懸命やったという謎の自信からいつもより取れたんじゃないかと、僅かな期待を抱いていた。
その期待が、泡のように一瞬にして消え去ったのだ。
私の思考が停止してしまうのも無理はない。
「俺もな、今回は頑張ってたし嘘だと思いたかったけどな…これが現実だ」
私に手渡された数学の答案用紙。
そこには大きく赤い文字で"27"と書いてあった。
私の通う学校の赤点の基準は30点。
つまり、あと3点足りなかったのだ。
問題にして、あと1問。
しかも、全く解き方が違ったものもあれば、符号ミスもいくつかあった。