小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「ま、待って」
気がついたら私は、ドアを開けて帰ろうとしていた結城くんの腕を掴んで声をかけていた。
「うん、なあに」
向こうを向いていた結城くんが私の方へと振り返る。
「勉強、教えてください」
はぁ、言ってしまった……
お願いしてしまった。
「よし、よく出来ました」
結城くんは私の頭を、まるでペットを撫でるかのようにクシャクシャと撫でた。
「ちょ、髪の毛が……」
「そんなこといいから。そうやって慌てるキミも可愛いよ」
「……へっ?」
今、なんて……?
「ほら、戻るよ。勉強会するんでしょ?また赤点なんか取ったら許さないからね」
「うわっ」
ぐいっとそのまま手を引かれて、元いた場所へと戻される。
私が頼んだことで、結城くんも問題集と教科書をカバンから取り出して、本格的に勉強会が始まる。