小悪魔なキミに恋しちゃいました。
キミって、バカなの?<side玲央>
あの日、僕はいつものように中庭にいた。
中学の頃から「かっこいい」と言われることが増え、周りに女の子が集まるようになった。
元々そんなに人と関わろうしていなかったこともあり、女の子が来ようと適当にあしらっていた。
しかし、それは逆効果。
何故かクールだとさらに人が集まるようになった。
そして、この学校に来てからは、クールでダメなら……と無難にどこにでもいそうな普通の高校生を演じるようになったわけだけど。
それは意味がなかったらしい。
逆に"王子"なんかと言われ、中学から俺を知ってる大和は、僕の変わりぶりにお腹を抱えて大爆笑していた。
こっちは本当に困ってるっていうのに。
今更どうこうすることも出来ないまま2ヶ月が経とうとしている。
大和と話している時と、こうして中庭で過ごす時間が唯一気を張らなくてもいい時間。
大木という言葉がピッタリのこの木の下で、寝転びながら空を見上げるのが、とても心地よい。
空を見上げるたびに気づいたことがある。
それは毎日空の色が違うこと。
その色を見ることが最近の楽しみでもある。
……なんて寂しいやつなんだろうか
自分でそうツッコミながらも、今日も同じく空を見上げていた。