小悪魔なキミに恋しちゃいました。
いつもと同じ日を過ごす予定だった。
中庭にいるのは、いつの間にか出来ていた僕のファンとかいう女の子たちから逃げて、落ち着いてから帰ろうとしていたという理由もある。
今日も日が沈み始めた頃に帰ろう、そう思っていた。
その時ふっと感じた人の気配。
中庭に来る人なんか滅多にいなくて、ここに僕がいるってことを知ってるのは大和くらい。
そんなこともあり、たまに用事があるとここに来ていた。
当然、今日もなんか用があって僕のところに来たんだと思った。
「……なんだよ、大和。いるなら声掛けろ……って、あ?」
勢いよく起き上がり、その先にいたのは、大和ではなかった。
「……結城、れ……お?」
そうか細い声で僕の名前を呟いたのは、確か同じクラスの……
「いつからお前……」
すっかり動揺してしまっていた僕は、いつもの偽りの王子を忘れて素で話してしまった。
やってしまった……
そう思った時にはもう遅い。
「どうしたの、須藤さん」
1度も戻して見たけれど、須藤さんはしっかり聞いてしまっていたようで誤魔化しきれないと思った僕は、偽ることをやめた。