小悪魔なキミに恋しちゃいました。
「もうバレたわけだし、営業スマイルいらないよね」
すると、須藤は今にも逃げたいというふうに、様子をうかがっているようだった。
中学では、これでも女の子は寄ってきていたのに、須藤さんは違う。
それがまた新鮮で、疑問だった。
「ちょっと待ちなよ」
「……えっ」
「僕を睨みつけるなんて、珍しいね」
本当に、色目しか使ってこない女の子とは違う。
こんなに敵意をむき出しにされるなんて、逆に不思議でしょうがない。
「そのままじゃ、返さないよ」
あんなにどうにか逃げられないかと、必死になっていたのに、何故か今は気になって仕方がない。
気づいた時には、須藤さんのことを引き止めてしまっていた。
「えっと……意味がわからないんですけど」
「僕のこと、他の人に話されると困るんだよね」
そんなのただの口実。
「……言うわけないじゃん」
「あのさ、僕がキミをそのまま返すと思う?」
「1つ条件がある」
何も言えずに立ち尽くす須藤さんに、自分でもびっくりする言葉が飛び出した。
「キミさ、今日から僕の彼女ね。覚えておいて」
もっと驚いたのは、須藤さんの反応。
それなりに告白されることも多く、何度も断ってきた。
好意を持たれていたことばかりで、断られるなんて思ってもみなかった。
「僕を振るなんていい度胸だね?」
だから僕は、キミのことをちょっぴりからかってみたくなっちゃったんだよ。